記念大会

大会祝辞

リニアモーターカー

津田 暹(千葉県川柳作家連盟会長)

東葛川柳会発足三五周年記念、誠におめでとうございます。昭和62年10月24日以来毎月第4土曜日に句会を、毎年10月および5年単位で周年大会を開催して、現在計420回になります。会報の『ぬかる道』もこの10月で420号を迎えています。私が川柳を始めたのが昭和60年4月なので、発足以来よく参加させていただきました。

ところで『ぬかる道』の誌名の由来は皆様ご存知の通り、下総名物「悪女こんにゃくぬかる道」と伺っています。この「こんにゃく、ぬかる道」に洒落が二つ隠されているのもご存知だと思いますが、あえてご紹介させて頂きます。

ひとつは「こんな句ぬかる道」です。こんな句という自嘲ととれますが、こんな佳句がという誇りにも取れます。もう一つは「ぬかる道」なので足が抜けられなるというものです。面白くユーモア精神が東葛川柳会の代表的な特徴に一つで、初代の今川乱魚代表のユーモア精神が江畑哲男代表に受け継がれ、ユーモア賞などが実施され続けています。川上三太郎も「もし川柳からユーモアが解消することがあれば僕は躊躇なく川柳を捨てる」と述べています。東葛川柳会のユーモア精神大万々歳です。

こうした東葛川柳会の特徴は他にもいろいろあります。詳細は省略しますが、まず活気ある句会および講演を含む大会の運営が挙げられます。また、デジタル化への対応も早くから進んでおり、作品のデータベース化、優れたホームページの創設などが挙げられます。15年続いたホームページは残念ながらこの10月で終了となりましたが、哲男代表のアメーバのブログなどでの情報発信が盛んです。さらに本大会の一環として東葛川柳会の記録をDVD版で作成するなど、他の吟社にはあまり見られない優れた特徴を多く上げることができます。

特徴で忘れてならないのは会報の充実です。会報の発行は私も手がけていますが、毎月同じ形での発行を続けるのも結構大変です。それが『ぬかる道』では実行されています。柳誌発行編集で大変と言えば郵便物の翌日・土曜配達の廃止があり、皺寄せで苦労しています。その日本郵政の今年のキャッチコピーは「進化する温もり」とは呆れます。「退化する冷たさ」です、「進化する温もり」は東葛川柳会にこそピッタリです。

私は20、25、30周年大会でお祝いの言葉を寄せさせて頂いていますが、そこで『ぬかる道』を20周年では「高速道路」、25周年では「新東名高速道路」に、30年では「滑走路」に喩えています。一昨年の400号記念では「リニアモーターカー」に喩えています。今や「ぬかる道」は「リニアモーターカー」まで進化しました。40周年には何になるのか楽しみです。
今後の更なる発展と飛躍を願っております。