代表の部屋

いざ、台湾へ、充実の旅の予感が

代表の部屋

いよいよ出発の日も近づいた。今日は、出発約2週間前の3月12日(土)。朝8時過ぎ、台湾の李琢玉さんに電話をかけた。

琢玉さんの第一声は「ハイ、ハ~イ」であった。何回かけても話し中で、やっと通じたと思ったらこの声、この言葉。ただ今、「台灣川柳會」会報の発送に大わらわだそうな。
お天気はいかがですか?、と尋ねたら「有史以来の寒さだ」などとおっしゃる。「有史以来」という返答にも参る。ともかく「外国」に電話をかけてる感じが全くしないのだ。

そんな出発2週間前である。「出発前に『ぬかる道』に何か書いてくれ」とは、松尾仙影編集長の依頼であった。何を書いたらよいのか?、と聞いても返事が来ない。仙影氏らしいアバウトさで困ったが、とりあえず出発前の様子を皆さんにご報告しておくことにしよう。

良い旅になりそう、そんな嬉しい予感がする。「良い旅」の中味は?、と聞かれたら困るが、
① 楽しい旅であること
② 収穫が予想されること
の二つくらいが頭に思い浮かんだ。何となくの予感、それが正直なところだ。でも、この予感は当たりそう。予感の中味を少々分析的に書いてみたら、次のようになった。

まずは①の「楽しい旅であること」から。

ある参加予定者がこんな感想を洩らした。「まるで修学旅行に出かけるような気分です」と。わくわくした気持ちを隠さずにそう言う。ナルホド。思わず頬がゆるんだ。確かにそんな感じがしないでもない。

しからば「修学旅行」としよう。修学旅行ならば、引率の責任者としては必要な役割分担を皆さんにお願いしなければなりません。

校長先生役は、やはり大戸和興さんがお似合い。そこで「最高顧問」にご就任いただく。台湾に詳しい村田倫也さんは、さしずめ引率教員のチーフと言ったところか。修学旅行の「下見」に何度も出向いていただいたことになる。しかも相当詳しい下見だ。副団長兼渉外部長としてお世話になる。そうそう、事故や迷子が何より心配である。ここは職業柄団体行動に慣れている植竹団扇さんを点呼・誘導係に任命しようか、……。

こんな遊び心で、ほかの役割分担もスムーズに決まった。和気藹々、この修学旅行は楽しく出発できそうだ。

改めて添乗員をご紹介する。東武トラベル古田一寿さん。修学旅行のために特別製のしおりを作成していただいた。有り難う!

続いて、②の「収穫が予想されること」の話。
    こちらは箇条書きにしてみた。

  • 1日目〈3月27日(日)〉台北着、午後市内観光。夜は、李琢玉さんらと翌日の句会の打ち合わせ。村田さんが設定してくれた。と思いきや、その後の電話で変更アリ。琢玉さんが用事が入っていたのを忘れていたとか。いずれにしろ、私の身柄は倫也さんに預けています、と申し上げた。笑い。
  • 続いて、第2日目〈28日〉が日台合同川柳句会の本番。句会は台湾方式で行われる。「郷に入っては郷に従え」。事前投句制で、嘱目吟はナシ。句箋は使用しないと聞いた。事前投句は宮内みの里さんが月初めにまとめて送付済み。それを琢玉さんがプリントで用意をして下さる。果たしてどんな句が出て来るやら。選と披講はむろん当日のお楽しみ。
  • 夜は、日台文化交流記念講演会。ついに、夢が叶った。講師としてお招きするのは、『台湾人と日本精神』の著者・蔡焜燦氏。日本にいたらおそらく聞けないであろう、日本人が失いかけている「心のふる里」のようなお話をたぶん蔡さんはして下さると思う。
  • 3日目〈29日〉の旅程はオプショナルツアーのはず?、であった。アンケート結果ではほとんどの人が淡水へ行くことに。東葛川柳会専用車を手配しての移動になる。従って、わがままが利く。好きなところへの移動が可能だ。有り難い。この日の午後は、日本統治時代の建物(衝陽路、台湾銀行、監察院、芝山巌など)の見学に充てることにした。きわめて個人的ながら、教育殉難碑のある芝山公園を私自身は楽しみにしている。
  • この原稿を書いている途中で、倫也さんから電話があった。三日目の夜のこと。「夕食各自」となっているので、ホテルの食事ではない、台湾のごく普通の夕食を食べに皆さんをご案内したいというお誘い。その話、乗りましょう。土産物屋さんの多い迪化街にも案内してくれるそうな。何から何まで有り難い。
  • こんな私たちを、現地のマスコミが取材に来てくれる。『なるほど・ザ・台湾』ほかのメディアが。名もない庶民の日台文化交流の様子がどのような記事にされるのか、これまた楽しみである。
最後に参加者について触れておこう。

ツアーは「東葛川柳会様ご一行」になっているが、実際はバラエティーに富んでいる。

秋田銀の笛吟社の長谷川酔月さんと上田良一さんは、前日の東葛川柳会句会からご参加いただける。酔月さんには三月のゲスト選者として、選と披講をしていただく予定だ。翌日からの旅行にいっそうの親密度が増すことであろう。

旅行にはいわゆる「湾生」(台湾生まれの日本人)の方も参加される。大阪の加島由一さん。台湾川柳会との関わりが振るっている。数年前に発生した台湾大地震の際に、義援金を申し出た以来の縁と伺っている。いかにも「湾生」らしいエピソードだ。

このほか、フレンド吟社の方々、祖母の付き添いで参加して下さる女子高校生。そして、むろん私たち東葛川柳会。多彩なメンバーの旅行団だが、元気よく行って来ます。

それでは、お土産話を楽しみにしていて下さい。

(第一回海外吟行句会団長)
(『ぬかる道』2005年4月号)