ぬかる道巻頭言コラム

【『ぬかる道』第432号 巻頭言】
『エンジョイベースボール』

ぬかる道巻頭言

巻頭言『エンジョイベースボール』

江畑哲男

今月はまず、高校野球の話題から。

慶應義塾高校野球部が、この夏全国制覇を成し遂げた。
8月23日甲子園大会の決勝戦で、宮城県代表の仙台育英高校を8対2で破った。ナント107年ぶりの優勝だった。おめでとう!
母校の歴史的快挙に慶應OBのフィーバーが熱かった。芸能界やスポーツ界から祝福の声が続々と届いた。櫻井翔、ミッツ・マングローブ、石原良純(俳優・気象予報士)、石坂浩二、武藤嘉紀(サッカー元日本代表選手)、加山雄三ら、鈴々たる有名人からのお祝いメッセージが続いた。

「慶應高校優勝」の陰で

ところが、である。何やら世間的には妙な雰囲気が漂っている。決勝戦はともかく、その後イマイチ盛り上がりに欠けているようだ。何故か?、不思議である。

背景を探れば、

(ア)従来型の高校野球のイメージを、慶應高校と森林貴彦監督が覆してしまうのではないか、という危惧。
(イ)(とくに決勝戦での)大学野球的な応援への批判。神宮球場でのノリをそのまま甲子園に持ち込んだ。アレはやり過ぎじゃないか、という指摘。
(ウ)そもそも「慶應ブランド」が気に入らない、というへそ曲がり根性(笑)、等々があるらしい。

さらには、

(エ)他の「野球高校」(←失礼な言い方!)と慶應高校は違う(野球部員に特待生など特典的な優遇は用意されていない)という報道への反発。
(オ)「ブルジョワ的雰囲気」(3年間で300万を超える学費。金銭的な理由で慶應を断念した家庭もある)が気に入らない、といった心理。
(カ)東大も早稲田も叶わないと言われる最強学閥「三田会」の存在。

等々を、一部週刊誌は書き立てていた。

これらの「違和感」に対して、池井 優 慶應義塾大学名誉教授がその背景を丁寧に説明しておられた(本号短信欄39ページ参照)。さすがに池井先生である。

小生などは、107年ぶりの優勝を素直に喜んであげればよいのに、……と思うだけだ。WBC以降、せっかく盛り上がってきた野球人気に水を差す、じつにつまらない言いがかりである。これだからマスコミが嫌になる。

「エンジョイベースボール」精神で

慶應優勝の直後、「エンジョイベースボール」にスポットライトが当てられた。髪型も自由、選手の自主性を重んじる練習、福沢諭吉以来の「文武両道」。旧来型のスパル夕方式とはたしかに違っている。その旧来型とは違う高校野球のスタイルが、慶應ブランドと相侯ってやっかみを生んでいる、と小生などは分析している。

改革には「逆風」が付きものである。どんなにすばらしい結果を残しても、批判をしたり足を引っ張ろうとする輩が必ずいる(嫌だねぇ〜)。コロナ禍以降、こうした傾向はつとに顕著だ。とくに老人に多い。テレビや新聞に煽動されて、自分は何もしないのに(出来ないのに)文句だけは言いたがる。『老害の人』(内館牧子)に登場する「クレーム老人」はその典型であろう。

右はときに、「老人ファシズム」と呼ばれて非難の対象になる。老人は(小生もその一人だが)「現状維持」がお好きなのだ。老人的思考が支配する日本では、それゆえ大胆な改革が難しいのかもりおっと、閑話休題。

「エンジョイベースボール」とは、なかなか洒落たフレーズではないか。この「エンジョイベースボール」精神は、他にも敷衍(ふえん)出来よう。エンジョイライフ、エンジョイ川柳、エンジョイ句会&大会。
さらには、エンジョイボランティア、エンジョイ苦労、エンジョイ失恋(!)、エンジョイ夫婦喧嘩(笑)、… おっと、またまた書き過ぎた。このようなエンジョイ精神を、わが東葛川柳会では大切にしていきたい。

元気の出るTV番組

一方、前向きになれるTV番組、見ていて元気になれる番組も少ないながら存在する。例えば、下記。

①「YOUは何しに日本へ」(テレビ東京、毎週月曜夜6時45分)

前代未聞の空港アポなしインタビューを展開する。“Why did you come to Japan?” 面白い訪日外国人っていっぱいいるようだ。オドロキ。そうしたユニーク外国人から日本人の気づかない日本文化を教えて貰える。

②「ガイアの夜明け」(テレビ東京、毎週金曜夜10時)

経済の現場で奮闘する団体や個人を追う。勉強になる。視野が広がる。かつての「プロジェクト✖️」(NHK) の経済版か?ついでながら、松下奈緒の知性美がいい!

③「プライムニュース」(BSフジ、平日夜8時)

いま、ニュース番組を見るならコレだ。ウクライナ情勢をはじめ、テーマ設定がタイムリー。反町理キャスターのツッコミが当を得ている。鋭くて的確、加えて人間味あり。

④「球児苑」(NHKBS、夜8時)

知的に野球を分析している。「プロ野球が100倍楽しくなる」。

⑤「ブラタモリ」(NHK総合、毎週土曜夜7時30分)

ほかにもあるが、省略。残念。

代表からのSOS

最後はお願い!9月上旬大谷翔平の体調不良も心配だが、当会幹部に病人続出!いやあ、参った。会員の皆さんにご迷惑をかけないよう現在努力中だが、ままならぬ。
ピンチです!物心両面での支援をお願い申し上げます。
どんな小さなご協力でも構いません。とにかく、手が欲しい。詳しくは9月の東葛句会にて。