ぬかる道巻頭言コラム

【『ぬかる道』第446号 巻頭言】
『川柳での受勲を喜ぶ』

ぬかる道巻頭言

巻頭言『川柳での受勲を喜ぶ』

江畑哲男

去る11月2日(日、祝)、大きな大きなニュースが飛び込んできた。皆さんもよくご存知の津田暹(千葉県川柳作家連盟前会長)さんが、旭日双光章を受章されたというニュースであった。まさにビッグニュースだ!

同日付け読売新聞千葉版。「川柳文化振興に尽力」という見出しに、暹氏の写真入り三段抜きで紹介された。

記事は言う。「県川柳作家連盟で13年間にわたり会長を務め、県内の川柳文化の振興に尽力してきた」と。いやはやメッチャ嬉しいニュース。津田暹先生。本当におめでとうございます。

叙勲には縁遠い川柳(人)

じつは、川柳界は叙勲に縁が遠かった。過去に受勲された先輩方がいない訳ではないが、その多くが川柳以外の分野での功績だった。しかし、今回は違う。川柳そのものが受章の対象なのだ。その意味で、ご本人はもとより川柳界全体のためにも喜ばしいことである。そう確信する。

そこで、「江畑哲男熟血川柳ブログ」(アメブロ)に早速アップした。哲男のブログは川柳界外の方々も見ていただけるようになってきたので、見出しから工夫をした。
「『川柳文化振興』で叙勲!(千葉県の津田暹氏)」として、11月3日当日にアップさせていただいた。

津田暹さんからは、その日のうちに小生宛てに御礼メールが届いた。文面は左記。

江畑哲男様(本日付の)ブログ拝見しました。最大限の賛辞、恐縮です。有り難うございます。確かに対象枠として少ない民間団体の長としての受章で、それも川柳としての受章に感激しています。千葉県からはかつて文化の日の知事賞も拝受しておりますが、県の川柳に対する理解度に頭が下がります。これも先人達のご尽力の賜物です。
今まで全国的にも川上三太郎師の紫綬褒章、藤島茶六.斎藤大雄両氏の旭日双光章、渡邊蓮夫・西尾栞・西村在我各氏の木杯などの受章はありますが、最近を含めてあまり耳にしません。何れにせよ大先輩の方々であり、現在でも私よりはるかに大活躍をされておられる方も多く、日川協からの推薦があってもいいのではないかと思ってしまいます。これからも命ある限り川柳の普及発展に力を注いでいく覚悟です。今後ともよろしくお願い申し上げます。
なお、(読売新聞ほか)千葉日報にも紹介されています。両社とも川柳欄が充実しているのは嬉しいことです。

11/3 (千葉市)津田暹

津田暹さんのメールを読めば、川柳界と叙勲の距離感がお分かりいただけるであろう。そう言えば、我が師・今川乱魚も川柳界の権威・尾藤三柳も叙勲されてはいない。
「川柳の普及・発展」「川柳の文化的地位向上」を目指して今後も努力を続けていくが、現実は容易ではない。今回の津田暹氏の叙勲によって、世の川柳理解が飛躍的に進んでくれることを心から願っている。

NHKからの取材

話は変わる。

11月8日(金)午後、NHKから取材を受けた。郵便料金の値上げを期に年賀状終いが増えているが、年賀状維持派の一人としてのお話を聞かせて欲しい、との趣旨だった。8日(金)は国民文化祭ぎふに向かう前日であった。だからホンネでは取材をお断りしたかったのだが、せっかくの機会なのでお受けすることにした。

NHKテレビ「おはようニッポン」。番組は、「どうする?、来年の年賀状。止める派?、続ける派?」というテーマで進めていくらしい。小生はもちろん年賀状維持派。「郵便料金の大幅な値上げにもかかわらず、なぜ(頑なに!、笑)続けるのか?」、そんな話が聞きたいようだ。

インタビューに対して、小生は葉書が「高い・安い」という以前に、「文化の一つ」という観点を提出して、この点を強調した。つまりはこういうこと。

  1. ① 日本人は「けじめ民族」なのである。モノゴトの始めと終わりをとても大切にする。例えば、学校や会社の始業と終業、食前の「いただきます」と食後の「ごちそうさまでした」、等々。けじめに無頓着な人間は、世間ではあまり尊敬されていないようにも思える。
  2. ② 加えて、日本人はみんな「詩人」だ。韻文を一度も創ったことのない人は、おそらくいないだろう。折りに触れ、心境を句に託すというのが日本人。日本人は粋な民族なのである。皆さんが年賀状に記す年賀吟や年頭吟などは、まさしくソレだ。年賀状に書かれた一句から、差出人の近況や環境の変化、はたまたその年にかける意気込みなどを推しはかる。大人の楽しみであり、たしなみとも言える。口語の創作文芸たる川柳の長所の一つと言ってよい。
  3. ③ 上のような背景があって、年賀状文化が定着したのではないか。

こんな趣旨のお話をした。インタビュアーの若い女性アナウンサーは、小生の回答に当初、きょとんとしていた。年賀状と日本人、日本文化の関連として考えていこう視点は、どうやら想定していなかったようだ。というのは「郵便葉書状が高くなったのに、どうして出し続けるのか?」、という質問のほうが彼女から多く出たからである。

果たしてどのような編集がなされ、放送されるのか?放送予定日は、11月21日(木)7時以降。本巻頭言が皆さまのお手元に届くころには、放送が終了してしまっている。でも、こうしてご報告だけはしておきたい。

大会成功とその舞台裏

本日は11月12日(火)。国民文化祭ぎふ「川柳の祭典」が成功裡に終了し、帰ってきたばっかり。じつは、身も心もへとへとの状態でこれ書いている(国文祭について
は、別途まとめて書くつもりである)。

大会は楽しい。他方、準備も含めて大会は大変である。

過日我孫子市で開催された千葉県川柳大会を例に挙げれば、市教育委員会の後援一つとっても、承認を得るまでには手続きと段取りが当然必要なのだ。興味深くご覧いただいた小冊子『ABI ROAD』一冊だって、天から降ってきたわけではない。かくして、大会成功とその舞台裏の一端をご披露した。分かる人には分かって貰えているが。寒暖差が激しい昨今だ。体調管理には気をつけたい。