もう7・8年ほど前のこと、NHKの「ドキュメント72時間」という番組があり、そこで取材されたのです。もちろん、偶然取材班と出会ったというだけのことですが!
それは暑い夏、8月のお盆の日。なるべく涼しい時間にと、私は花束を抱えて夫の墓へ行きました。夫はあの有名な(?)牛久大仏の墓苑で眠っておるのですが、墓の掃除をして花を供え線香をあげ・・・としていると、カメラマイクなど、いかにもテレビの取材です!といういで立ちの若い男子が4人程、近付いてきました。そして「ドキュメント72時間」という番組であることを告げられ、少しばかりの質問に答えたりしながらの15分程の会話がありました。
その後放送日を教えてもらい、昔からの友人3人程に知らせたくらいで、あとは映るかどうか分からないと思い内緒にしていました。そして放送当日、見ていた私は(あーもう終わりか・・・)と、思い始めた番組終了間際、最後のシーンで墓前にただ無言で合掌する自分の姿が映りました。スタッフとの会話など総てカットでしたが、まあ映ったからいいかナ等と思っていたならば、すぐに見てくれたという友人からの電話。「見たよ!最後だったね、大トリじゃん!」と、冷やかし半分に面白がってくれ、知らせた事が無駄にならずに良かった、と思ったくらいでした。
翌日になっていつも通り出かけたジムで、今度は顔なじみの知人に言われました。「ねえ、昨日テレビに出てたでしょ?」と、たまたま見ていたならば、最後に貴方が出てきて驚いたと言われ、こちらも見られたかと驚きました。
そしてもうこの話題もすっかり忘れた頃、新潟に住む義姉から突然の電話。何かと思えば、病院の待合室でボーツとテレビを見ていたら、貴方が出てきてお墓に手を合わせている姿が映った、どうなってるの?びっくりしたよ!との話。
たまたまその日その時間に、番組の再放送があったのです。
こちらこそ驚きました。もうすっかり忘れてもいましたし、しかも再放送であり数秒の時間、偶然にも偶然過ぎて私も義姉もただ驚くばかりでした。
夫がなくなってその一年後に義姉のご主人であるところの夫の兄も亡くなっていました。夫同士が兄弟の義理とはいえ姉妹の関係で、同じ嫁という立場でもあり仲良しでしたからきっとあちらで兄弟がいたずらを企んだのかもしれないね、とこの不思議な偶然を笑い合い、久し振りに亡き夫達を思い出しながら話も弾み、ほっこりした取材の余波でした。