英語で俳句らしきものを作っている。日本語で作る俳句の英語訳ではない。以前、「Blue Apples」というHAIKUの会を主宰していた。そこのモットーは「Feel in English, Think in English, Make in English」であった。翻訳を言うものを一切介在させない英語による短詩であった。英語ができないのでそんなものは無理と思われる方がほとんどだろうが、そんなに難しいものではない。犬がDogで猫がCatであることは恐らく誰でもが知っている。難しい言葉を使う必要は全くないし、文法的に正しい必要も全くない。誰でもが知っている英語を並べあるイメージをつくりあげれば、それがHAIKUになる。
拙句
weak moon
a dog barks on
somewhere in the dark
をアメリカのHAIKU作家に見せたことがある。moonには光を感じ、the dark(暗闇)とは両立しないと言われた。月に光はあるのかなと思った。ましてこれはweak moon(本人は「朧月」のつもり)である。
ドレスデン国立美術館展で「満月のドレスデン」という絵を見たことがある。この月は凄い。確かに光はある。描かれているエルベ川を射るサーチライトのような光だ。確かに欧米人は月に光を感じるようだ。日本人はと言えば、「月見れば千千に物こそ悲しけれ」である。「ひらひらと月光降りぬ貝割菜」である。なんとも頼りない月の光である。
インド人は月に救いや癒しを感じると聞いたことがある。かの王舎城の悲劇、父を殺し母を幽閉したアジャセ王の救いは月の光による皮膚病の快癒といったことに象徴されて語られる。
欧米人は月に強烈な光を感じ、インド人は救いを感じ、日本人は悲しさ感じる。こうなるとアラブ人はどうか、ユダヤ人は、中国人は、韓国人はなど、とても知りたくなってくる。黄金色の金貨には眩いばかりの光を感じる。どうもこれは万国共通らしい。