定例句会

句会の表情(令和5年3月)

定例句会
金城風見子
  • 司会:角田 創
  • 記名:川名信政、中村久代
  • 会場:アミュゼ柏1階
  • 出席者63名、欠席投句者40名

句会は楽しみですが、毎回直前まで納得のいく句ができなければやきもきします。宿題の傾向は句会によってずいぶんと異なります。易しい題はありませんが、今回の題でいちばん苦労したのは、「可愛いお年寄り」では?そして「ボイス」も難しく感じられたのではないでしょうか。「珊瑚」は、あまり発想が広がらず類想句おいのではないか、「別れる」は人生至る所にあることなので、作りやすいのではないかと思われたのではないでしょうか。

そこで、皆さんにはどの宿題が難しかったのだろうかという好奇心から、披講が始まる前に、出席者63人の約3分の2に当たる、43人(男性21人、女性23人)の方に勝手に伺ってみました。

質問と回答(複数回答)

Q1 東葛川柳会の題はどうですか。(複数回答合計71)

「難しい・作りにくい」22、「普通・ありきたり」19、
「面白い・ユニーク」26、「作り甲斐がある」4

Q2・3 今回の題の中で作りにくいものがありますか。どの題ですか。(同57)

「ボイス」5、「別れる」3、「珊瑚」35、「可愛いお年寄り」12、無し2

Q4 是非抜けてほしいと思う句はどの題の句ですか。(同64)

「ボイス」14、「別れる」13、「珊瑚」17、「可愛いお年寄り」17、無し2

Q5 句会に参加する理由は何ですか(同80)

抜けること6、刺激28、勉強17、情報3、交流26、その他(選者が多岐に亘っていること

アンケートから見えること

東葛の題に対する評価は、「面白い」・「ユニーク」・「作り甲斐がある」というポジティブな評価(約3分の1)がある一方、マンネリ化している、という指摘もある。作りにくいという回答が最多だった「珊瑚」は、頑張って作句されたためかその半分の方が是非抜けて欲しい題にも挙げており、出席者の川柳に対する熱意が見えた。

句会に参加する理由は、「抜けること」より、刺激を受けることや勉強になるという積極的な理由、そして交流への希求が多かった。このことが句会を支えているエネルギーになっているように思われた。

開会の挨拶(江畑哲男代表)

最近「代選」が増えたがお互いに助け合って行こう、句会の面白さを改めて味わい生き生きした句会にしたい。宿題の案や選者の推薦もどうぞ、東葛の仲間が選者を務める全日本川柳協会誌上広島大会(川崎信彰副代表)、国民文化祭石川(七尾市、大竹洋幹事)へ投句してください。

新幹事長の永見忠士さんのあいさつ

披講開始

午後3時、さあ、いよいよ披講が始まる。同じ題からどのような発想や見つけが紹介されるのだろうか。特選に抜けるか。ワクワクしながら一同耳を傾ける。

宿題1「ボイス」 佐道正選(川柳研究社幹事長)

安藤紀楽さんの代選

選者のご挨拶。『川柳マガジン』誌の駄洒落川柳の選者との自己紹介に続けて、駄洒落はサラ川のように駄洒落自体が目的のもの(例「何度もの式を巡って死期が来る」、「できないと泣く子を叩く親の無恥」、「イマジンを今人類に聞かせたい」)手段として駄洒落を使った句(例「炭酸を頼めばコーラを買ってくる」、「血の巡りどうですか結構いいよ」)があると例を挙げて、笑いを誘いながら選の基準を示された。

宿題2「別れる」 新井季代子(当会幹事)選

投句者の句から、適宜コメントを挟みながら題に合わせて静かに披講された。「さようなら」の詠み込みが多いような印象も。

宿題3「珊瑚」 月岡サチヨ(当会維持会員)選

アンケートで「作りにくかった」という人が一番多かった一方、是非抜けて欲しいという回答が多かった題である。選者は、いろいろな句に出会え、楽しく選をしたと切り出され、落ち着いて披講された。

宿題4「可愛いお年寄り」 江畑哲男選

披講前『ぬかる道』誌を取り上げて。①来年はメッセ賞の発表がある、②「今年は打って出る」(巻頭言)、③平川柳氏の読み応えのある評論、④仲間のエッセイ「趣味の栞」等に言及。茂雄編集長から原稿依頼があれば、皆さん協力して欲しい。⑤限られた対象(例:家族)とのコミュニケーションでは視野が狭くなるが、句会参加者は比較的下手になっていない。⑥ベストセラーの河合雅司著『未来の年表』(講談社現代新書)はオススメの本。

宿題「可愛いお年寄り」について、今川乱魚前代表の時代に「可愛くない孫」が出題された。今回選をしながらおもわず吹き出してしまった作品も多かった。難しいと感じた人もいたかもしれない。「可愛いお年寄り」、すなわち「ケチ・しつこい・素直じゃない」等々の「対角線の発想」をすれば、句の視野が広がる、と川柳発想力を養成する一口講座。今年は「打って出る」という元気な顔が教えてくれた。

披講では、いつもの誤字・脱字へのご叱責はなく、一部字句修正に留まり、普段にも増して笑いに包まれた披講となった。

「これより秀句」になると、WBCで流行したペッパーミルのパフォーマンスを交えながら、ユーモア句と、ユーモア以外の要素を持つ作品の双方を採られた。締めの句は「年寄りと自分で思うお年寄り」(佐道正)だった。大爆笑のうちに披講を終え、三月の例会も幕を閉じた。

モグモグタイムは脱マスク

披講になれば着マスク

祭りが果てて

今月は駄洒落川柳の知識や「対角線の発想」、多くの方との交流が得られ、満足されたのではないでしょうか。来月の皆さんと楽しい時を過ごせることを期待しています。