- 司会:角田創
- 記名:角田真智子 高橋和男
- 会場:アミュゼ柏1F
- 出席者59名、欠席投句者31名
参加者59名、欠席投句者は31名計90名の参加。
9月28日。少し雨がパラついたが湿度の高い、じめっとした曇天である。彼岸花のニュースも聞かれ、やっと秋ヘ一歩踏みだしたような一日となった。いつも感じることだが、アミュゼ柏の句会場へ降りるなだらかなスロープの浮遊感がたまらない。扉を開けると、海水浴場のような賑やかさである。既に椅子が並べられていて、役員の皆さんのご苦労が思われる。投句締切までは、自在な交流の時間が続く。
2時投句締切
江畑哲男代表の挨拶。「つまらない話」を、と切り出された9月の「石川県川柳大会」を無事終了した後、越前武生に宿泊。体調も良く、今夜は飲まないで食事だけを楽しもうと駅前へ出た。ところが、煙草臭い飲み屋はごく数軒開いていたが、フツーの食事処は数も少なく、午後7時には閉店。結局、夕食を食べそこねたという。小樽でも感じたことだが、今地方都市は衰退している。老人の多さが取りざたされるが、結局は少子化の問題ではなかろうかと、しめくくられた。
気功
さて、選をしている間の自由時間、骨が一本抜けたような、昼寝でもしたくなる気分だが、藤田光宏氏の気功がある。気功を終えると、動きの鈍くなった血流が喜んでいるようで、やんわりと体が温かくなる。
3時、披講
代表から「川柳の絆、仲間の切さ、選者の紹介」があり披講が始まる。
宿題「すいすい」上村脩氏 選
上村脩氏は川柳白帆吟社の主幹を務めておられる。昭和22年6月、山本卓三太氏による創刊というから、77年の歴史を持つ吟社である。主に各吟社の達吟家が集うとのことで、句会の活気が想像される。今年11月、川柳文化賞を受賞されるとの代表からの紹介があった。聞いている私たちも、目出度い栄光のひと雫をいただいた気持ちになる。
スリムなお体で、颯爽と登壇。「この頃つぶやき、独り言をそのまま述べている句が多い。だからどうしたの?という独りよがりの句になっている。独り言でも、ストーリーや物語が分かる句だと良いが…」と最近の句の傾向に言及。また、このようなつぶやきの句が多いのは、キャリーバックを引きずる人が増えた頃からである。持てるだけのものを自分の手で持つ、というのが僕の信条だ、とも。フーテンの寅さんのように「カバン一つで颯爽と」がカッコ良い。ということで、演歌ファンらしい一面も見せられた
宿題「ベル」井上すず選
登壇ゼロ分でハプニング。投句の句箋を別に置いたのが、見つからない。壇上でもたもたしているので、代表の助け舟。「先に日下部敦世さんにお願いしましょう」このひと声に助けられた。その間三分。たった三分とも言えるがとんでもない、カップ麺なら仕上がる時間である。泣きたい気分だが、泣きたいのは代表と会場の皆さんかもしれない。そんな不甲斐ない私を、披講の後慰め励ましてくださった東葛の仲間の皆さん。肩を叩いて下さった温かい手。因幡の白うさぎを救った蒲の絮のように、むき出しの神経にしみてくる。小春日のような…ああ、なんとあたたかいのだろう。感謝の気持ちと、その温かさを宝に今後も川柳を続けよう。へこんでばかりいられない。ちなみに今年、大学病院で痴呆の検査(MRI、CT、脳の水分、血液、問診、筆記テスト、など)をしていただいた。あの時は大丈夫だったのに…
宿題「苦手」日下部敦世氏選
日下部敦世さんと言えば、東葛川柳の重鎮。いつも穏やかでにこにこされている。今年の『ぬかる道』七月号「大人の交差点」に寄稿され、東葛川柳会入会当時の経緯が語られ、面白く拝読した。『ぬかる道』では「こどもの声五七五」の連載を持たれていて、子どもたちを見る目があたたかい。選者としては東葛の外でも著名で、大変お忙しいとの代表の紹介があった。もちろん柳暦二十年の超ベテラン作家である。老沼さんからお借りした『川柳マガジン』で知ったが、第274回誌上句会大賞第一位を受賞された。『川柳マガジン』では入選や受賞も多く、東葛以外でも大活躍の方である。披講の声も緩やかで、敦世さんらしい優しさがにじみ出ていた。
「自由吟」(三句連記)江畑哲男代表選
登壇早々に、呼びかけがあった。37周年大会へ是非誘い合わせて参加して下さいとの事。その後、時間のゆとりがあるのでと、「食べ損ねた」話の続きを披露。それにしても、声の張りも良く昨年の心臓大手術の影響など微塵も感じられない。ちっともじっとしていないし、常に何かを追いかけ何かに追われている。草臥れた老人の一味である私は、この熱量を浴びるとナメクジのように縮んでしまう。
披講も順調に進み、タワーマンションの灯のように、それぞれの胸に、それぞれの灯がともり、句会終了となった。