- 司会:角田創
- 記名:月岡サチヨ 角田真智子
- 会場:柏市中央公民館
- 出席者82名、欠席投句者33名
11月25日、柏市文化祭川柳大会あわせて東葛川柳会38周年記念大会が例年通り、柏市中央公民館で行われました。柏駅に降り立った私は小雨の降る中を会場へ10時過ぎに着きましたが、もうすっかり準備が整っており、いやがうえにも気持ちが盛り上がって来ました。今年はいつもの受付以外に『ぬかる道』危機突破基金のコーナーも設けられております。句箋へ記入後、少し早めの昼食を三階のフリースペースで居合わした柳友らと共に摂りました。大会の楽しみの一つは一年に一度しかお会い出来ない方達との再会があります。更に参加者の中には昔の東葛の句会の思い出を語ってくださる方もおり、この近くの神社の社務所で座りながらの句会であったそうです。
記念講演の部
「日本人はなぜ欠けた茶碗を愛でるのか」
麗澤大学前学長 中山 理氏
中山氏は麗澤大学で英文学や道徳思想の研究者として外国学部の教授から同大学の学長を12年間努められました。現在は自宅の庭に書斎を建て、知的生活を楽しまれているとのことであります。講演は約一時間でしたが、ユーモアもたっぷり交えられ、あっという間に過ぎてしまいました。
講演は三つのパートからなっておりました。
パート1 学ぶことは楽しい、人との出会いも楽しい!「壮にして学べば、即ち老いて衰えず。老いて学べば、即ち死して朽ちず」
リタイア後も学び続けることの重要性を、川柳も引き合いに出しながら強調しておられました。私たち川柳人は正しくこのことを実践していると意を強く致しました。
パート2 日本文学と西洋文学の違い比喩と自然観。
川柳でも直諭(…のようだ、…に似てる)はよく使われますが、用法が西洋と日本とでは著しく異なると言われておりました。また自然との交流が日本人の美意識であり、万葉集で詠まれる自然主義とは英語の Nature でなく Shizenism と大友家持の妻の死へ際しての山上憶良野追悼歌を例に説明されておりました。
パート3 自然を手本にする日本人の美意識を茶道の中にみてみましょう!
碗は割れる物であり、金継ぎは美意識を高め、究極のSDGsであると考える。また不完全なものから出発して完全なモノヘと向かうプロセスを楽しむことが重要であり、茶道も川柳も俳句も同じことである。日本的な美は不完全なものの中にあると岡倉天心も「茶の本」で述べており、また千利休も美意識として「未完の作為」を追及していた、と述べられておりました。
ご講演は素晴らしい内容でありましたが、私は付いて行けず、ここでは不十分な内容になりましたことをお詫びいたします。なおもっとご講演の神髄に触れたい方は中山 理著『日本人はなぜ欠けた茶碗を愛でるのか』(育鵬社2021年)をお読み下さい。
記念句会の部
午後二時に始まり、開会の辞は当会の副代表の川崎信彰さんが述べられました。大ベテランで足がちょっとご不自由なようですが、まだまだ他の句会にも顔をお見せになっております。私見ですが東葛の方にも是非他の句会へも積極的に参加して頂ければと思っております。
続いて代表の挨拶がありました。少子化が続くこの国では新しいエネルギーが失われつつある。川柳の大同団結を訴え、川柳好きが一緒に手を携えて行きたいと締め括られました。最後に本日の選者のご紹介があり、今日の宿題は記念講演の題から頂いたそうです。
来賓は千葉県議会議員の山下洋輔氏で、ご挨拶を頂きました。山下氏は教育の街を標榜し、学校や子供だけでなく、生涯学習を盛り上げる柏のカレジ活動を進めております。また東葛川柳会の熱心なサポーターでもあります。
さていよいよメインの句会が二時半より始まりました。参加者は出席が82名、欠席投句が33名の計115名でした。悪天候を考えると、この数字は止むを得ないとも思いますが、ちよっと少なく感じました。茨城や東京からも見えておりましたが空席もやや多く残念でありました。千葉県最大の吟社東葛でも高齢化が進んでいることは否めませんが、その他にも原因があるのかもしれません。この危機をどう乗り越えて行くのか東葛らしい策を練らねばと思っております。
句会の司会は角田創さん、文台は角田真智子さんと月岡サチヨさんです。このベテラントリオがスムーズに句会を進行させており、流石と思わせました。最近、選者と呼名、文台とのリズムが悪く、うんざりする大会をよく目にします。
宿題「欠ける」いしがみ鉄選

鉄氏は現在川柳会で一番忙しい方かもしれません。会社で社長をやられ、かつ川柳研究社の代表も務めておられます。川柳研究社は川上三太郎以来、来年九十六周年の記念大会を企画しているそうです。またもう一年半後に迫った全日本川柳協会の東京大会の実行委員長もされております。瓶ビールと石原裕次郎をこよなく愛されていることも最近知りました。披講には私共が見習うべき素晴らしいものがありました。
宿題「茶碗」佐瀬貴子選

貴子さんは、関東の大会を荒らし回っており、タイトル賞を必ず手にされております。一見、東北弁に似た茨城弁で訥々と話されますが、いつもユーモアたっぷりです。私も今年初めて参加致しましたが、水戸川柳会の会長としての大会運営の素晴らしさを目のあたりに致しました。披講を聴いていて、だんだんと吸い込まれて行く感がありました。
宿題「前」坂部忠昭選

伝統ある松戸川柳会の会長を昨年米島暁子さんから引き継がれました。また『犬吠誌』の編集長としてもお忙しい方ですが、懐の深い方とお見受けしております。一方で合唱団のまとめ役もされていると伺っております。披講の喉は歌で鍛えたのだと、納得できます。お酒にも強く静かにぐいぐいと飲まれる姿が印象的です。
宿題「カルチャー」日下部敦世選

東葛では代表以外では、最も輝いている方です。私は数年前に緑葉で初めてお目にかかりましたが、今日まで丹波篠山のご出身とは知りませんでした。お話ししていても関西弁を全く感じておりませんでした。『ぬかる道』ではジュニア川柳を担当されております。将来を見据えてのご活躍は、きっと花が咲くことであろうと思って居ります。今大会では東葛独特の三句連記を担当されました。
披講が終わり、四つの宿題の特選句からタイトル賞が選ばれ以下の通りに発表されました。
柏市長賞 日下部敦世
家族になろうお揃いの茶わん買う
柏市議会議長賞 山本由宇呆
前輪の苦労を後輪は知らず
柏市教育長賞 小林一光
もっと月欠けて欲しいなキスの宵
千葉県川柳作家連盟賞 河野なかば
激動の昭和を生きた飯茶碗
柏市文化連盟賞 永見忠士
AIにくどかれ方を教えられ
大会も予定通りに無事終了し、私も仲間と別れて家路へと急ぎました。帰るころも雨はまだ少し降っておりましたが、耳にした佳句の余韻が残っており、寒さも気になりませんでした。私も数句抜けましたが、受賞句と比べてまだまだ距離を感じており、来年へのチャレンジを胸にしっかりと刻み込みました。

大会の表情

柏市長賞授与される日下部敦世さん

表彰状
