巻頭言『キャッチコピー効果』
このところ、あちこちでこう訴えている。《川柳の絆を大切にしていこう!》、と。
コロナ禍を超えて、川柳の大会が各地で再開されるようになった。ほっとしている。コロナ下のアノ暗くて沈鬱な空気を一気に吹き飛ばす勢いすら感じる。喜ばしい。
むろん、参加者数は減少気味だ。高齢化もさらに進行中。だが、大会に参加する仲間の表情は明るい。
さまざまな違いを乗り越えて
川柳の仲間とはいっても、思想・信条や価値観、川柳観はそれぞれ違う。顔が違うように、性格が異なるように、相違点はいろいろある。所属吟社や地域性、人間関係等々、違いはたくさんあるだろう。しかし、こうした違いを乗り越えて川柳人は大同団結をしていきたい。《川柳の絆》を今こそ大切にしようではないか!そう訴えている。
コロナ禍のなか、私たちは大変な苦労をした。句会を開催すべきかどうか?、柳誌はどうつなげていったらよいのか?、さらに会の体制や運営も悩ましかった。
その苦しい、先の見えないコロナの数年間を私たちは乗り越えてきた。コロナ下で、人と人との交流が許されない中で、川柳という文芸の底力に気がついた。川柳によって自分をさらけ出すことの喜びを改めて実感したのだった。
実際に「川柳がなかったら、生きる張り合いがなかった」と打ち明ける会員もおられた。その折りの電話の声を、江畑哲男は今も忘れることが出来ない。<
仲間との結びつきの強さや大切さをしみじみと味わったのも、コロナ下であった。コロナ後の再会、病気等で出席できなかった句会に、再び参加できた時の喜び。川柳の仲間と対面が叶った嬉しさ。「遠くの親戚より近くの川柳仲間」、そう比喩したくなる場面に何度か出くわしている。川柳をやっていてよかった! 本当にそう思う。
世界に目を転じれば、……
《川柳の絆を大切にしていこう!》を具体的に申し上げれば、たいした負担ではない。例えば、隣の市で大会があったならばちょっと覗いてみる。所用で参加出来ないなら、投句をすればよい。人手が足りないようだったら、出来るお手伝いをしてあげたい。もともとボランティア精神に満ち満ちているのが、私たち川柳仲間ではないか。
こうしたつながりの延長線上に、東葛川柳会の創立三七周年記念大会がある。改めて、会員各位及び支えて下さった皆様に感謝を申し上げたい。有り難うございます。
今年も記念講演を企画した。人生100年時代にふさわしく、健康長寿をテーマとしたご講演と軽体操をお願いしている。講師の西川佳克先生は、日本全国を飛び回る体操の先生である。地元の議員さんでもある。「灯台元暗し」とはよく言ったもので、地元のこんなすばらしい先生を今回お迎えできたことをとても喜んでいる。
幸いにして、私たちはコロナを生き抜くことが出来た。よかった!有り難う!ひとえに川柳のおかげであり、川柳仲間のおかげでもあろう。コロナが退散したいま、こうした絆を改めて強く・太くしていきたいものである。
目を大きく世界に転じてみよう。
ロシアによるウクライナヘの軍事侵攻は苛烈さを極めてきた。中東情勢は激化こそすれ、和平への道筋は見えない。他方、わが国は(安全保障環境が厳しくなったとは申せ)「平和」をのほほんと享受している。この落差!
人のアラばかりほじくり返すワイドショーや、芸能人の下半身に異様な関心を示す週刊誌。国際情勢は語らず(語れず)ノーテンキな話題に終始している。情けない限り。小生などは自由を謳歌し、趣味を楽しむことが出来るだけでも幸せな環境だと思えてならないのだが、………… 。
講演行脚と観光と
おかげさまであちこちから講演の依頼を頂戴している。ご要望に対しては基本的にイエスとお答えをしている。7月の北海道大会については、『ぬかる道』9月号巻頭言に書いた。その後を記そう。
9月25日(水)石川県川柳大会(於金沢市)。
金沢駅では優勝したばかりの大の里の写真パネルに出迎えられた。
創立50周年を記念しての講演では、パワーポイントを駆使。演題は「生きることを励ます文芸=川柳」。赤池加久会長をはじめ、石川県のスタッフの皆さまには丁寧で心のこもった応対をしていただいた。感謝。北陸各県の皆さまと親交を深めることが出来たのも幸せだった。
大会後、金沢から新幹線で越前たけふに回る。折りしも大河ドラマ「光る君へ」で賑わいを見せていた。紫式部公園や越前和紙の里ほかを観光。充実の半日になった。
他方、地方都市の衰退も目の当たりにした。武生駅前の夜の早さにはビックリ。夕飯を食べ損なう、という恥ずかしいハプニング(笑)も経験。駅前にコンビニがない!都会暮らしの議員が「地方の活性化」などと簡単に打ち上げる認識不足を、身に泌みて実感した一晩だった。
9月30日(日)静岡県川柳大会(静岡市興津町)。
講演及び選者。演題「作句力の向上と日本語力」。パワーポイントではなく、こちらはナマでの講演となった。
講演後、興津でちょっと文学散歩。興津は若き夏目漱石ゆかりの地である。その場所は残念ながら見つけられなかったが、正岡子規の句碑とはご対面が叶った。満足して、その日のうちに拙宅に戻った。
そして、いよいよ10月。千葉県大会と東葛の大会が成功裡に終了(と書いておく)。11月には、国民文化祭ぎふが控える。慌ただしい反面、大会と観光が楽しみだ。
さてさて、10月1日から郵便料金が値上げになった。文字活字文化を愛する私たちにとっては、大きな打撃。憤懣やる方ないのだが、値上げは値上げ。投句の際の郵便料金、お間違えないようご注意を。果たして、過去の郵政民営化は正しかったのかと、改めて問う今日この頃でもある。
第三種の郵便物の書類提出申請とも重なって、会務の負担が増えている。引き続き皆さんのご協力を乞う。