巻頭言『SNSの時代!?』
趣味というのは楽しい。生活に潤いをもたらしてくれる。仕事とは違った張り合いが生まれてくる。それゆえ、多くの方が趣味というものをお持ちなのであろう。
趣味のなかでも、習いごとというのはさらに張り合いがある。指導者がいてその指導を受けられるからだ。励ましあう仲間もいる。それぞれ目標を設定できる。ライバルの存在なども、自身の励みになるに違いない。
習いごとの中で川柳は?
習いごとのなかでも、難しいのは川柳のような趣味であろう。理由の第一は、上達しているのかどうかが分からない点だ。上達度が目に見える形で測ることが出来ない。
「上達度を測る」。例えば、段とか級といったランク付けがあればビジュアルに理解できる。ランク付けが可能な習いごとと、そうでない習いごととがある。むろん川柳は後者の部類に属する。
もう一つ厄介なのが師系である。他の習いごとは、師系にやかましい。相当やかましい。師に楯突いた弟子に、未来はない。大抵破門される。師系が違うと、評価がまるで異なってくる。それが習いごとの世界なのだ。
○○賞に輝いた作品が、他の師系の展覧会では入選すらおぼつかない。それが現実である。非情だが、芸事(お稽古ごと)というのは、それほどに厳しいのである。
この点、川柳は自由である。他の短詩型文芸(俳句や短歌)よりもゆるい。はるかにゆるい。
川柳界では(過去はいざ知らず)、他流派の句会に出かけるのは自由である。A派に属する川柳人が、B派の指導を受けても叱責されることはほとんどない。昨今ではむしろ推奨すらされている感がある。
この点が川柳の魅力の一つでもあるのだが、他方で「習うこと」「学ぶこと」「本拠地」があまりにも軽視されてはいないか?小生、この点に若干の危惧を覚えている。
「学び」を忘れた川柳人
理論書は読まない。歴史は知らない。他の短詩型文芸に関心を持たない。それどころか、同じ川柳でも傾向の違う作品に触れようともしない。「分からないから」と言って、最初から平気で切り捨ててしまう。総じて、勉強しない。
果たしてこれで良いのだろうか?
ヒドい場合は、A派所属の川柳人がA派のルーツや主義主張を知らない例すらある。情けないにもほどがある。
「個性尊重」は大切だ。教育界でもここ数十年叫ばれてきたテーマでもある。だが「自己流」はいただけぬ。「学び」を忘れた「個性」はダメ。一時的にその「個性」が開花したとしても大成は望めまい。
モノ珍しさに実力不足の選者の眼は誤魔化せても、早晩行き詰まる結果になるに違いない。「ホンモノの個性」、実力に裏打ちされた個性を目指してほしい。
……おっと、今月はかなり辛口の巻頭言になりそうだ。だが、たまにはそれもよいだろう。久々に小生の直球を受け留めてほしい。
縁あって、また新しいご縁が出来て、担当する川柳の講座が増えた。また増えた。さらに忙しくなった。不定期の講座も含めると、かれこれ二桁近い講座数になった。
新しい講座生の皆さんへも、小生が考える川柳の上達法をこの際ご提示しておきたいと思う。我が東葛川柳会もメンバーがだいぶ入れ替わって、新人も増えてきた。改めて、川柳が「上手になるために」を左記に掲げておく。
新・川柳上達の極意10箇条(加筆再掲)
- 新人は推敲をすべし。推敲のないところに進歩ナシ。
- ベテランの手抜きが目立つ。手抜きの挙句、入選を果たしたとしても、それで満足なのだろうか。
- 句会の没句を並べて近詠に投句する、というのはやはり正道ではない。没句はやはり没句だ。
- とはいうものの、捨てがたい没句もある。自分なりに思い入れのある作品もあろう。ボツの場合、作品に問題があるとは限らぬ。不勉強な選者が増えた。だがしかし、そんな場合でも再チェックや時間的発酵が必要と思う。
- 概して、新人は発想がユニークだ。一方、ベテランは表現が巧み。互いに学びあう点がある。そう信じている。
- 何より、投句をためらわないこと。投句を続けること。努力なくして、上達なんて出来っこないのだから。
- 会や大会に参加してみること(含む投句)。「私はまだまだ新人なので……」といった一種の謙遜はさっさと捨てて貰った方がよい。
- 本を読むこと。本は買って読む方が身につく。
- 可能な限り、「外の空気」を吸うこと(各種講演や勉強会、観劇等々への参加、旅行や散歩も含めての「外」の空気)。外部の刺激は新鮮な感動をアナタにもたらす。
- テレビ漬けにならないこと。新聞を過信しないこと。せめて、新聞と他の論調(含むSNS) との比較くらいはしてほしい。オワコンと称されるオールドメディアだけに頼っていては、作品も「オールド」のままだ。
……上は、『ぬかる道』2010年3月号の巻頭言「実力本位」から採った。今回、若干の加筆修正をして再掲している。16年前の巻頭言だが、なかなか良く出来ている(笑)。説得力があるなぁ〜。読み直して、そう感じた。
川上三太郎の箴言
最後は、皆さんへのお小言&お願い。
- 誤字・脱字が増えた。投句前にはきちんと確認をしてほしい。文字は丁寧に!(中には「解読」が必要な原稿もちらほらある。)
- 〆切はぜ守って下さいナ。
- FAXで投句は禁。間違いのもとですよ!
以上、辛口の巻頭言を、川上三太郎の箴言で締めくくる。
即製ではないー
名著の名言は歴史の検証に耐え得る。出典『川上三太郎年譜』(川柳研究社、平成元年刊、限定500部)。
