長年、いわゆる多国籍企業で働いてきた。従って、日本人以外の人と一緒に仕事をする機会が多かった。上司も部下も同僚も社外の人も日本人でないことが多かった。「外人と仕事をするってどんな感じ」と訊かれることがある。答えは決まって、「みんな同じ」である。仕事のできるアメリカ人もいる、アホなアメリカ人もいる、(結構いる)、美しいフランス女性もいる、そうでない女性もいる、(結構いる)、要は何々人だから仕事ができ、何々人だから美人なのではない。
でも、それぞれの人種を類型化しようとする気持ちは日本も外国も同じらしい。その証拠に特定の人種をからかったエスニックジョークと呼ばれるものが酒の席などで良く話される。経済大国にのし上がった中国、中国人をからかったジョークが多い。あるアラブの王様がピンクの象を持ってきた国に膨大な賞金を出すとのお触れを出した。アメリカ人は世界中に軍隊を送り、隈なくピンクの象を捜した。ドイツ人はありとあらゆる科学文献を漁りピンクの象の可能性を探求した。日本人はバイオの技術でピンクの象を作ろうとした。さて、中国人は何をしたか...ピンクのペンキを買いに行った。一同爆笑である。でも、このジョークは中国人がいる席で話されることはまず無い。
国が伸びているときはからかわれる回数も増えるというもので、日本も伸びているときは、きっとそうであったに違いない。直接聞かされたことはほとんど無いが。日本人のジョークで、辛うじて、こんなのを聞いたことがある。
船が沈もうとしている。下では救命ボートが待ち構えている。でも、怖がって誰も最初に飛び込もうとしない。こんな時に、最初に飛び込ませるための決め台詞はというのが振りである。アメリカ人には「今、飛び込めばあなたは英雄になれます」、中国人には「何とかかんとか」、ドイツ人には「何とかかんとか」があって、さて日本人には...「みんな飛び込んでいますよ」このジョークもっとすごい落ちがある。フランス人には......「決して飛び込まないで下さい」フランス人だからと言って、全部が全部こうひねくれているとは限らない。
女房の浮気現場に突入した男がいる。アメリカ人であればすぐさま二人を射殺する。ドイツ人であれば二人を告訴する。日本人は...まず相手の男と名刺を交換する。これにももっとすごい落ちがある。さて、フランス人はという落ちである。もしフランス人だったら......自分も服を脱ぎ参加する。この類型化は何となく頷ける。