ぬかる道巻頭言コラム

【『ぬかる道』第443号 巻頭言】
『大会花盛り』

ぬかる道巻頭言

巻頭言『大会花盛り』

江畑哲男

コロナ禍を超えて、川柳界は秋の大会シーズンを迎えた。緊急避難措置としての誌上大会はほぼ消えて、コロナ前の姿に戻ったのではないだろうか。
川柳は「座の文芸」と言われる。愛好家の皆さんが顔を揃える句会や大会は楽しい。川柳仲間の表情も明るくなってきたように見える。句会大好き人間が多いのが川柳界。仲間が集まると、大きなエネルギーにやっばりなる。
六月の全日本川柳広島大会はよかった。そういう声をたくさん頂戴した。大会後早やニカ月が経ち、全国の仲間から御礼の声を頂戴している。全国の柳誌にも「よかった」という声が例年以上に満ち溢れている。
7月21日(日)の北海道川柳大会もよかった。講演では、参加者の皆さんの期待をひしひし感じとることが出来た。幸せな一時間だった。持ち込んだ書籍5冊(『魔法の文芸ー川柳を学ぶ』)も瞬く間に捌けた。皆さんに、気持ちよくご購入いただいた。有り難うございました。

観光も楽しい!

北海道の大会後は観光を計画。一度は行きたいと願っていた竜飛崎(愛称~竜飛岬)を訪ねることにしていた。
7月22日(月)早朝ホテルを出て、陸路をえっちゃらおっちゃら乗り継ぐ。北海道新幹線の青森県側・奥津軽いまべつという駅に到着したのは、午後1時を過ぎていた。
陸路は難儀した。小樽ー札幌ー新函館北斗ー奥津軽いまべつへと乗り継いでいったのだが、つごう6時間もかかった。新函館北斗ー奥津軽いまべつまではわずか45分だったのと比べると、小樽ー札幌ー新函館北斗までの経路がいかに不便かがよーく分かった。北海道新幹線の札幌までの延伸を望む気持ちが体験的に理解出来た。
さて、その奥津軽観光。
まずは、龍飛崎。崖の上から眼下の海を眺める。何もなかった(笑)。少し離れたところに、石川さゆりの歌碑があった。そう、ヒット曲「津軽海峡冬景色」の聖地だ。碑の前にボタンがあり、押せば曲が流れてきた。「🎵あーぁ、津軽かいきょう、冬げぇしき〜♪」といった具合に。
さらに1kmほど離れたところには、青函トンネル記念館があった。高倉健の映画ポスターが小生を出迎えてくれた。さっそくトロッコ列車に乗車。深い深いトンネル抗と海底数百メートルの別世界を体験。改めて、昭和時代のプロジェクトのスケールの大きさに感銘を覚えた。
もう一カ所、階段国道なる名所もあった。こちらはパスした。前夜ぐっすり眠れた小生だが、この時点では完全にグロッキー。途中母娘連れの車が停まってくれて、「何かお困りですか?」と親切にも声をかけていただいたが、木陰で日に数本しかないバスを待つことにした。三重県の水谷裕子さんのような訳にはとてもとてもいかない(下記、今月号『ぬかる道』39ページ「九州弾丸ツアー」より)

今月初めに、九州弾丸ツアーにチャレンジを致しました(一泊二日)。名古屋駅から新幹線のぞみに乗車、約3時間かけて小倉駅に到着。そこからツアーバスに乗り、菊池寛の小説『恩讐の彼方に』で知られる「青の洞門」に。それから湯布院、もちろん宿泊は別府温泉でした。
翌日は、早朝よりツアーバスで、国宝臼杵石仏(磨崖仏)見学に、そして国東半島めぐりと称し、真木大堂、富貴寺、宇佐神宮をお参りさせて頂きました(邪気をはらうことができた感じでした)。暑かったですが、海風が心地よく、感動と元気をゲットした旅でした。感謝です。

7/23 (三重県)水谷裕子

バス到着までは1 時間あまり。川柳創作タイム(下記、今月号のメッセ12ページより)に充てた。

龍飛崎行

龍飛崎何もないのを見て帰り
1kmがきつい岬は坂の道
心臓に訊いてから行く景勝地
行きは良し帰りはバスがないと言う

身体的には疲労困應だったのだが、頭は妙に冴えていた。川柳のお陰で退屈することはなかった。そう、まさしく川柳のおかげ!

句会を生き生きさせるためのポイント

さてさて、いよいよ大会シーズン到来である。
9月7日(土)の水戸市川柳大会、同8日(日)松戸市川柳大会を皮切りに、大会が目白押しになる。いつも申し上げていることだが、可能な限り大会には出席して欲しい。
お仲間と誘いあって各地大会を賑わせていただきたい。

拙著『魔法の文芸ー川柳を学ぶ』(飯塚書店)の中の記述を、再掲しておく。「句会は道場です!」(113ページ)には、こう書いておいた。

句会の醍醐味。まとめてお示ししておきましょう。

  • 一堂に会する(=時間と空間を共有する)
  • 一つの課題に対して、
    発見力を競う
    表現力を競う
  • すぐれた作品は、他者の共感(笑い、拍手、頷き、その他の反応)を呼ぶ。
  • 選者も勉強。「佳句を抜く喜び、佳句を逸する悔い」を胸に刻みながら。

その句会が近年マンネリ化しているようだ。選者の不勉強も目立つ。批判をするのが本旨ではない。あくまで川柳界の向上のための提言である。少しでも改革・改善につなげていただけたらと、と願う気持ちで書いている。

句会のポイントをいくつか挙げてみたい。

① どんな選者を招いているのか(句風、の良し悪し、川柳歴など)。
② ありきたりではない、参加者の創作意欲を掻き立てるような課題が、一部でも盛り込まれているか。
③ どのような傾向の作者(作品)が集まるのか。
④ 楽しく生き生きとした運営のために、主宰はどんな工夫をしているか。

要するに、面白い句会を追求する姿勢が肝心なのだ。

お詫びやら連絡、お願いやら

わざわざ代表が巻頭言で書くことではないが、当会の体制不備のためご迷惑をおかけしている。記してお詫びするとともに、今後体制の確立に努めて参りたい。

(ア)暑中見舞広告の領収書を一部発行できなかった(とくに遠方の方)。掲載したことで相殺願えれば有り難い。ただし、必要な方は遠慮なくお申し出下さい。
(イ)会員の選者礼を「改定」した(値下げ!、笑)。また、一部簡素化もさせていただいている。ご了承を乞う。
(ウ)句会投句料は値上げさせていただいた(「改定」という用語をココでは使わない)。なお、実施は10月から。多少の行き違いは覚悟の上。許容範囲と考えるつもり。
(エ)吟行会の再開を計画中。来年3月あたりが適当か?
(オ)麗澤大学秋の川柳講座へどうぞ。(おしらせに案内掲載)。こちらはPR 。
(力)別件。パリ五輪裏面。「台湾(Taiwan)」と書かれた応援タオル等が当局に没収されていると聞く(8/6付け産経紙)。事実なら許せぬ。五輪はスポーツの祭典であり平和の大会なのだが、同時に薄汚い政治も蠢いている。

猛暑一段落まで、あと一息。健康第一で秋を迎えよう。