巻頭言『ラブレター from 台湾 』
その昔、
「カナダからの手紙」というヒット曲があった。平尾昌晃と畑中葉子のデュエットだった。「🎵ラブレター、フロム、カナダぁ♪」で始まる、アノ曲だ。昭和53年にヒットした。
その曲名にちなめば、今月号の巻頭言は「ラブレター、フロム台湾」ということになる。どういうことか?
巻頭言、ただいま台北から送信中!
小生はいま台湾に来ている。
昨年に引き続いて、9回目の訪台だ。出発前には、小誌『ぬかる道』の小生担当部分を書き上げて、六斉堂茂雄編集長に送信しておいた。
困ったのは巻頭言だ。雑事に忙殺され、出発前には手が回らなかった。巻頭言を書くとすれば、今回の台湾行きに当然触れなければならない。はてさて、困った!
そんなやりとりを茂雄編集長としていたら、編集長からメールが入った。
「とうかつメッセ」ですが、なんとか台湾へ行かれる前に届けてください。8割がたはこれで作業が終わり、あとの2割、校了を遅らせて善処いたしましょう。(2/6付け)
おいおい冗談言うなよ!台湾から巻頭言を送る!? そんな芸当、出来るわけないじゃないか。簡単に言ってくれちゃぁ、困るねぇー。小生、それでなくとも仕事をいっぱい抱えての台湾行きなんだぜ゜
………という訳で、しばらくは取り合わなかった。
人生初の試み!、外国からの原稿送信
そうこうしているうちに、出発の日が迫る。台湾の大学での講義資料は二種類も作成した。手間がかかった。向こうの要人との面会の段取りも取り付けた。ヤレヤレといったところで、編集長のメールを読み返した。
「やって、みるか!」。
そうなると、またまた新たな準備が必要になる。
まずは、PC。今次訪台ではPCを持参することにした。これまた人生初!宿泊先のホテルではWi-Fiが使える。日本語の通じるスタッフも揃っているらしい。PCを持ち込める環境は整っている。
おっと、そうだ。ケータイのSIMカードを入れ替えねばならない。昨年は失敗した。SIMカードは入れ替えたのだが、通信も検索もまとも出来なかった。Wi-Fi不調のままでは「検索」が出来ぬ。よい原稿も書けぬ。
そんなこんなで、まずはSIMカード。同カードの購入は長男に依頼。Amazon から出発前に送られてきた。SIMカードの入れ替え方法は、PCデポに駆け込んでご教示を請うた。PCデポというのは、デジタルサポートをする会社。小生、一推しのサービス会社だ。
ここまでお読みいただいて、お分かりになったであろう。何ごとも大変なのである。「言うは易く行うは難し!」。ふと、中学校の朝礼時の校長訓示を思い起こした。「寝ていて人を起こすなかれ」、「思いつきは立派でも行わねば価値がない」、などなど。昔の人はイイことを言った。
小生のワイドショー嫌いもこのあたりに起因する。そのレベルの低さ、他人に罪をなすりつける姿勢、無責任放言、問題解決能力の欠如、……。典型はTV朝日の玉川某氏であろうか。彼の放言など、百害あって一理ナシ。反論の出来ない弱い立場にある人間(例:公務員)に対して、公共の電波を使って言いたい放題。彼は何度も何度も「謝罪」を繰り返すが、放送局はなぜか使い続けている。不思議。マイナスオーラを振りまきたい放送局としては、手軽な鉄砲玉として重宝しているのだろうか。
他方、小生は現役世代を応援する。ときに厳しい口調になるのは叱咤激励をしたいが故である。閑話休題。
9泊10日の在台湾日記
さて、今回の台湾は9泊10日の日程である。これほどの長逗留は初めてのことだ。その楽屋裏もあえて書かせていただいている。だから、今月号の巻頭言はとびっきりご注目いただけるはず!、と信じて疑わぬ。
9泊10日の在台湾を日記風に書き留めておこう。
▷ 3月1日(土)午後成田を出発
▷ 3月2日(日)台湾川柳会3月例会(台北市、於:國王大飯店)。出席者約20 名。日本からは、細井吉之輔・栃尾奏子・ペんだこん・坂根遊民の各氏が来ておられた。
句会では、昭和4年生まれの頼とみ子さんと再会できた。杜青春現代表を台湾川柳会に引きずり込んで世に送り出した陳清波(昭和7年生)さんともお目にかかれた。二次会では陳さんの高らかな独唱(「月月火水木金金」ほか)を聴くことができた。20代〜40代という若い世代の研究者の顔も見られた。詳報は、次号『ぬかる道』にて。
台北の昼の気温をご報告する。3月3日(月)気温30℃。台湾はもう完全に夏だった!
▷ 3月5日(水)静宜大学にて特別講義。昨年は川柳の講義と、『羅生門』の読解との二講座を展開した。
今年の演題は、「俳句や短歌を革新した正岡子規」。今回も同大の頼衍宏先生のご厚意で、台湾の学生さんに語りかける機会を与えていただいた(頼衍宏先生とのやりとりについては、下記参照)。
(台湾静宜大学での講義を)ご快諾いただき、ありがとうございます。「俳句と和歌の革新を成し遂げた正岡子規」というテーマで、2025年3月5日15:10〜 、Aクラス(30人)向けの講義をお願いいたします。PPTがあったら、3月1日までにお送りください。どうぞよろしくお願いいたします。
大学時代、私は夜間部の学生として三村昌弘先生の文学史の授業を受講しておりました。授業で紹介された作品の粗筋には非常に深みがあり、心を動かされました。ただ、当時日本語能力が不足しており、内容についていけなかった部分もあり、それが今でも心残りです。また、俳句の宿題では詠草を提出させていただいた記憶があり、プリントも残っています。どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。
1/4 (台湾静宜大学) 頼 衍宏
いつもお世話になっております。PPTファイルを拝受いたしました。(資料には)野球の話もあっていいですね。お目にかかれるのを楽しみにしております。
2/16 (台湾静宜大学) 頼 衍宏
大学での講義&日本文学研究者との交流
▷ 3月7日(金)夕台湾師範大学講師・市川春樹先生とお目にかかった。市川先生は日本の短詩型文芸、とりわけ川柳の研究に熱心な先生である。塚越迷亭(1894〜1965)を追いかけておられる。
塚越迷亭はきやり吟社の同人。昭和14年渡台、翌15年台北に台北川柳社を興し、川柳誌『国性爺』を発刊している。こうした先駆者を掘り起こしているのが市川先生である。貴重な研究者のお一人なのである。
貴重と言えば、摩運藩先生のベストセラー『茶金歳月』の日本語版をこのたび完成させた。大変な労作である。
市川先生曰く「摩運藩先生が筆を揮った大作であり、是非とも(日本の)世に出したいとの気持ちで頑張りました。彼のユーモアや教養の深さをも日本語に落とし込まねばならないのでその点は苦労しました」と。この種の研究には、日本の川柳家がこぞって応援すべきであろう。
なお、この日の会食には、中國文化大學日本語文學系で川柳を研究しておられる坂本香里(豪濁川柳會所属)さんにも同席していただいた。
……とココまで書けばご理解いただけるだろうか。
今回の訪台の目的は、単なる観光ではない。台湾の地で再度花開きつつある日本文化、とくに韻文の普及活動が盛んなのである。この動きを微力ながら応援したい。杜青春さんや沈美雪先生の努力に報いたい。そんな気持ちで台湾に長逗留することとなった。可能ならば、個人的なつながりから組織的なつながりへと深化させたい。そんな大志を抱きながらの今次訪台であった。
▷ 3月9日(日)台湾俳句会創立55周年記念大会(於:國王大飯店)。こちらの詳細は次号に譲ろう。
▷ 3月10日(月)午後成田着。
大増田幸一顧問の白寿を祝う会(ご案内)
話は全く変わる。しかも、おめでたい話。
当会の増田幸一顧問が、来たる6月8日に98歳の誕生日を迎える。数え年で白寿となられる。
大変おめでたいこと。当会会員内外からは、ご長寿にあやかりたいものだ、という声が盛んに聞こえてきた。
そこで、「増田幸一顧問白寿祝賀会」を開かせていただくことにした。実行委員長は川崎信彰副代表(川柳会・新樹会長)。骨子だけ提示しておこう。
- 6月28日(士)の東葛川柳会例会を、「増田幸一顧問白寿のお祝い句会」とする。
- 句会後、「祝賀会」を柏市内で開く。詳細は続報を待たれよ。以上、取り急ぎ皆さんへのお知らせにて。