ぬかる道巻頭言コラム

【『ぬかる道』第442号 巻頭言】
『第五土曜日は美味しい』

ぬかる道巻頭言

巻頭言『第五土曜日は美味しい』

江畑哲男

年に数回、およそ三カ月に一度の割合で、第五土曜日がやってくる。第五土曜日の存在は有り難い。「美味しい」と書いたのは、「便利だ」「使い勝手がよい」である(念のため、付け加えておく)。
カレンダーを見る。令和六年(2024)には、三月・六月・八月・十一月と、第五土曜日が点在する。公的にも私的にも、その第五土曜日には重宝をしている。

第五土曜日の活用法

まずは「公的」側面から。

ご承知のように、私・江畑哲男の土曜日はタイトである。
毎週、川柳教室やら句会が入っている。

第1:読売カルチャー(隔月午後には川柳会・緑葉も)
第2:川柳会・江風
第3:川柳会・双葉
第4:東葛川柳会(句会)

いずれも大切なお役目ではあるが、話はここからだ。

土曜日は上記のような予定で埋まっている。決まった予定があるというのは張り合いのある反面、融通が利かない。例えば、外部からの重要で急なオファーが入った場合でも、身動きが取れない。だから断わざるを得ない。残念!

困るのが「私事」だ。私事で講座をすっぽかす訳にはいかない。さらに困るのが、自分自身の充電に土曜日を使いたい場合。「私事」だとやっぱり休講を言い出しにくい。
笑われるかも知れないが、江畑哲男はまだまだ「発展途上人」だ。自分にそう言い聞かせている。勉強をすればするほど、自身の不勉強を思い知らされる。至らなさを痛感する。それゆえ、自分磨きの時間が欲しくなる。

土曜日には川柳界内外の好企画がいっぱいある。自分磨きに恰好なイベントだってたくさん目に入る。しかし、それらが第一〜第四土曜日だと、その時点でアウト。参加は不可。諦めざるを得ない。タイトな土曜日の実状である。

ところが、これが第五土曜日だと事情が変わる。大手を振って参加が可能になる。晴れて、自身のステップアップに時間を費やすこともできるようになるのだ。

今年の前半の第五土曜日は、下記のように活用した。

3月30日(土)、第八五回台湾セミナー(李登輝友の会)にて講演。演題は「ココまで来た日台文化交流ー川柳の活動を通じて」。杜青春台湾川柳会代表のほか、当会幹事も数人駆けつけてくれた。

6月29日(土)、今度は逆に、同セミナーにて講演拝聴。王明理・全日本台湾連合会顧問の講演。勉強になった。

ついでに申し上げれば、六月は第五日曜日もあった。千葉県稲門祭の行事に初めて参加した。小澤隆生・前ヤフー(株)取締役社長によるスケールの大きな講演に刺激を受けた。アグレッシブな生き方に感動した。

ついでのついで。『ぬかる道』編集面でも第五週(第五土曜日)の存在は有り難い。巻頭言や記事の整理などが出来て、時間的にも心理的にも余裕が生じる。たぶん、六斉堂茂雄編集長が一番感じておられることかも知れない。

講演行脚、本格的にスタート

2月の労組講演、三月の台湾静宜大学での授業、つづけて台湾セミナーでの講演。これらに引き続いて、七月以降の川柳講演行脚がスタートした。いよいよ、本格的な行脚の始まりである。

7月7日(日)、柏稲門会にて講演。演題は「日本語の魔術師=川柳」。知的レベルの高い出席者を前に知的な講演を展開したつもり。「川柳に興味を持った」「川柳を見直した」という感想が聞かれてほっとしている。
講演資料(パワーポイント)の作成や操作では、中村恭子さん(東葛川柳会新HPの作成・更新の立役者)にお世話になった。永見忠士幹事長には、同講演に先だつ講師紹介をしていただいた。記して、御礼申し上げたい。

7月21日(日)には、「令和六年北海道知事賞・小樽市長賞北海道川柳大会」がある。そこでも講演をさせていただける。会場は小樽市内のホテル。小樽は何度も訪れたい観光地の―つであろう。柳誌交換もしている地元の小樽川柳社(清水ひろ子主宰)の強烈なお引き立てで今次講演が実現した。感謝、感謝!、である。
北海道も人材が豊富である。大会を仕切る高橋みっちょ北海道川柳連盟会長には、先の日川協広島大会の選者をお務めいただいた。その広島でお目にかかった札幌川柳社の佐藤芳行新会長には、来年の神戸大会の二次選者をお願いしている。並みいる人材の後方には、御大・岡崎守日川協常務理事がデンと控えている。
大会というのは、大小にかかわらず苦労が伴うものだ。スタッフの皆さんのそうしたご苦労があって、大会というイベントが実現する。この点を胸に刻みながら、北海道でも務めを果たして参りたい。

講演で気をつけている点がある。聴衆のニーズである。柏では川柳界以外の方が対象だった。小樽では川柳のお仲間が対象。したがって、同じ「日本語の魅力」というテーマを掲げても、発信内容は当然異なる。違えなければならない。『ぬかる道』八月号が皆さんの所に届くころには、北海道でのお務めを無事果たしていることであろう。

今後の予定(今年後半はあと数力所で講演予定)。

9月25日(水)金沢、同29日(日)静岡。
10月は、13日(日)秋田、20日(日)我孫子。
11月10日(日)岐阜、……。

川柳普及と川柳文化の向上に、少しでもお役に立てば幸いである。

夏は読書、夏こそ読書

さてさて、この猛暑。ともかく暑い!夏をどうやって乗り切ったらよいか?冷房の効いた部屋での読書をオススメしたい。夏は読書、夏こそ読書。小生の持論だ。

『江戸のジャーナリスト葛飾北斎』(千野境子、国土社)、『日本再発見』(駐日ジョージア大使テイムラズ・レジャバ、黒海社新書)、『言語の本質』(今井むつみ・秋田喜美、中公新書)、『すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった』(太田省一、ちくま新書)、『旅する漱石と近代交通』(小島英俊、平凡社新書)、『いまだ成らず羽生善治の譜』(鈴木忠平、文藝春秋)、『本居宣長「もののあはれ」と「日本」の発見』(先崎彰容、新潮選書)……。乱読も乱読だが、太字がオススメ。

猛暑の中で、秋の大会の準備を進めている。10月26日(土)は東葛大会。チラシも完成した。活用されたし。