山田とまとエッセイ

夏休み・今昔

山田とまとエッセイ

昔は夏が好きでした。

ママ友の一人は「ねえねえ夏、夏、夏休みだよ!」などと、やたらウキウキと楽しみにしており、子供達が一日中在宅の夏休みは、それなりにタイヘンでしょうよ⁉と思いながらも笑い返しておりました。

ところが最近は違います。桜が散り、つつじも終り、ゴールデンウイークも初夏もどきの暑さ、あるかないか分らないような梅雨も蒸し暑さは一人前で、夏が近づいてくると不安や恐怖にも似た気持ちを抱きながら身構えてしまうようになりました。そのはずでございます。熱中症という言葉が飛びかって亡くなる人までいるのですから、災害級の暑さと言われることもあるくらいでございます。
そしてニュース映像を見て驚いたのは、海水浴場の風景です。人はパラパラとしかおらず、海水浴場も閉鎖になる所も多いのだとか。
対照的に映し出された昭和の海水浴場、そこには砂浜に足の踏み場もないくらいの人、人、人、海の中はこれがイモ洗いと呼ぶにふさわしい人間てんこ盛り状態、そうそう、私の知ってる夏休み、夏の風景は海水浴でした。

それは真夏の一大イベントで、住んでいた北海道の短い夏には一夏に一回行くくらいが普通でした。7月最終か8月最初の土曜か日曜の海への家族レジャーは集中しがちになりますから、なおさらのこと混んでいたのかもしれません。
その人混みの中で、何とかスペースを作り出しては、あちらこちらでスイカ割りが始まるのでございます。割れたスイカが砂まみれにならないように下にビニールなどを敷いてまわりの見物人は、右だ左だと歓声、ヤンヤの拍手。すこぶる単純に皆が面白がって楽しめる砂浜の遊びでございます。もちろんスイカもワイワイ騒いで皆で食します。 
砂浜の砂の中に、顔だけ出して寝転がって埋めるなんて遊びもいたしました。そこから飛び出して砂だらけの体で海へ飛び込み、海水で体についた砂を流しながら泳ぐというのも、子供達は面白がったものです。

ある年の夏休み、その年は稚内のいとこの所に行っていたことがあり、子供達を喜ばそうと、大人達は海水浴を計画してくれました。稚内市内から少しばかり車で走り着いた浜辺は、砂場ではなく岩があり、足元は小石がじゃりじゃり、オホーツク海でした。水温がとても冷たく、海とじゃれているうちに、ブルブル震えがきたものです。「もう寒くなるから、あがっておいでー」などと呼ばれ、浜辺にはなんと焚き火が用意されており、子供達は炎を囲んで暖をとったりしました。
今どきの、暑過ぎて砂浜なんて歩けないような海からは、想像もできないオホーツクの海水浴でございました。

これからも毎年毎年夏はやってきます。
昔好きだった夏は、今やちょっとシンドイ、ウンザリ気味の苦手な夏になってしまいましたが、「夏休み」の三文字は、ホッコリする思い出も蘇らせてくれる明るい夏です。
もちろんお天道様には、何の責任もございませんことを申しそえておきます。

山田とまと