最近、ある大学の研究グループが、65歳以上の高齢者6万人を対象にした調査結果を、「国際医学誌」に発表したそうです。
そのテーマは「配偶者と死別した高齢者の生活」に関するものでした。
それを要約すると、「配偶者と死別した高齢男性は、認知症や死亡のリスクが高まり、配偶者と死別した高齢女性は、生活満足度が上昇する」と言うものでした。
つまり「配偶者に死なれた高齢男性は、認知症のリスク、要介護度の認定や死亡のリスクが高まり、高齢女性では、同様なリスクの高まりは見られない。配偶者との死別が、高齢者に与える影響では、男女間で大きな差がある」と言うことが分かったのでした。
この「高齢女性は、生活満足度が上昇する」と言う結果には、驚く人もあるかも知れませんが、私には、余り意外でもありませんでした。
この調査結果を観て、思い当たる事例が、直ぐに浮かんで来たのでした。
女優の宮本信子は、もう十分に高齢者なのですが、夫を亡くした後の彼女の活躍ぶりには、目覚ましいものがありました。
それに加えて、彼女は夫の存命中よりも、際立って美しくなったように観えます。
女優としての仕事ぶりでも、夫の死後、多方面に起用され、伸び伸びと大活躍している様子が伺えました。
もしかしたら彼女の夫は、彼女の活動のブレーキだったのかな?と疑いたくなる程で、彼女の生活満足度は、確実に上昇した筈だと想像したのでした。
ご近所のA夫人が、夫を亡くしたのは、彼女が70代後半の時でした。
A夫人からは、彼女の夫が猪突猛進型で、唯我独尊的であること。夫は再々、町内で噂の人になり、困惑していることを、聞き及んでいました。A夫人にとっては、夫の存在そのものが、近所付き合いに支障を来たすこともあったようです。
加えて彼は、妻には耳を貸さない人で、A夫人が家庭内での衝突状況を、再々愚痴るのを聞かされていました。その夫が、脳梗塞で突然あっけなく亡くなってから、A夫人の生活は一変したように見えました。
A夫人が、若々しいファッションで、夜の飲み会やカラオケにと、張り切って出掛ける様子が、垣間見られるようになりました。
加えて麻雀に、ダンス教室にと、自由気ままな文化交流やエクササイズで、彼女は大層あか抜けて、生き返ったように見えたのでした。
ご近所のB夫人は70代半ばで、夫を事故で亡くしてから、生活が一変したのでした。
その事故の直後に、私がお悔やみを述べると、彼女は「急なことで、涙も出えへんのや。私は冷たいのかなあ」と、涙も出ずに泣けないことに、戸惑っている様子でした。
その後、B夫人は「お父ちゃんは、ほんまにケチな人やったから、生活費もちょっとしかくれへんかったんよ! 毎月のやり繰りが、ほんまに大変やったんやで!果物なんか、買う余裕も無かったわ!今は何でも思うように、好きなモンが買えて、お金が自由に使えて、ほんまにええわ!楽になったわ!」と、実情をぶちまけるのでした。
そして「お父ちゃんが、こんなに早う亡くなるんやったら、ケチせんと、美味しいモンを食べといたら、良かったのになあ!」と、生前のお父ちゃんのケチ振りを悔やむのでした。
「そやけど、お父ちゃんがケチやったお陰で、仰山お金を残してくれはったわ」と打ち明けるのでした。
A夫人も、B夫人も共に、「生活満足度は、確実に上昇した」と思われたのでした。
ウイーンを舞台にしたオペレッタ「メリー・ウイドウ」の主人公ハンナは、大富豪の未亡人で、その物語は嘘っぽくて、生活感がないのですが。それでも「陽気な未亡人」は、東西で共通する現象と言えるのかも知れません。
さて日本の高齢男性たちは、この冒頭の大学の調査結果を、どう受け止めるのか、大いに関心のあるところです。
私の場合は、「生活満足度が上昇する」とは言い難く、大変勝手ながら「悲嘆にくれて暮らす」と言うことにしたいと思います。
私の川柳です。
旦那様は年金様と女房言い
